※キャラ崩壊注意
 ※ガリ男×にょぷ、悪友は男
 ※ぷーは一人称おれ、だけど女。
  男勝りだけど、女。
  男みたいとかゆわんといてあげて!!本人も気にしてるんだ。



「悪いけど、」
   こうなるだろうってわかっていた筈なのに、プロイセンの申し訳なさそうな顔に喉がぎゅう、と締め付けられるような感覚がした。は、バカじゃねーの、何本気にしてんだよ、冗談だに決まってんだろ、なんて自分を庇護するための言葉がぽんぽんと頭のなかに浮かんでは消えていった。カラカラの口内で舌がもつれ、なにも言い出すことだ出来ない。なんだよ、俺、情けねぇ。
 「ハンガリー、おれ・・・」
 お前のこと、友達としか見れない。
 そういう風に見れない。
 他に好きな人がいるんだ。
   続きの言葉を勝手に想像して、一人でどんどん落ち込む。他に好きな人がいるとか、言われたら・・・俺、発狂しそうだな・・・。ぼう、と頭一個分下にあるプロイセンの柔らかい銀髪を見つめると寝癖なのか後ろのほうがぴょこん、とはねていた。
 くそ、なんだこいつ、可愛い・・・。って、これから振られるのになにさらに目覚めてるんだよ。迂闊。
   「おれ、おれな、ハンガリーのこと好きなんだ。」
 「・・・・は?」
   「だ、だから、おれ、ハンガリーのこと好きなんだ・・・」
 いつもは本当に女なのかと思うくらい荒い言葉を零す口をこれでもかと凝視する。あ、なんだこいつ、リップなんて塗ってやがる。くそ、生意気だな、キスしてやろうか・・・あ?え?今こいつなんてい、いいい言った!?
 「す、好きぃぃぃぃ!?」
 「そ、そうだ、よ・・・」
 白い頬がどんどん真っ赤になっていくのをみてなんだかこちらの顔までカーッと熱くなる。なん、え、ていうことは俺たちりょ、両思いってことじゃ・・・。
 「・・・・プロイセン、好きだ。」
 「な、ななな、なんで二回もい、」
 「お前も俺が好きなんだろ。」
 「う、うう・・・」
 赤くなっている耳にプロイセンの瞳を隠す前髪をそっとかけると頬にわずかに指が触り、プロイセンの頭がびくり、と震える。
 その反応に頭の中のどこかでなにかがぶちりと切れる音がした。
 「なぁ、俺のこと好きなんだろ?」
 するり、と指先を耳からあごへと滑らせるとプロイセンはさらに耳を真っ赤にさせてこちらをみた。顔も湯気がでそうなくらい赤い。
 「・・・プロイセン」
 そっと、顔を近づける。
 よし、いこう。今いこう。すぐいこう。もう頭の中はあらぬ想像でぱんぱんだ。プロイセンと両思い。こいつは俺が好き。そう、俺が好きなんだこいつは。ああくそ、これもう結婚だろ。
 「ちょっ、待て!!」
「うぐっ!!」
 後もう少し、というところでプロイセンにアッパーをくらい、思わず尻餅をつく。舌でベロを少し噛んでしまい、口の中が鉄臭い。
 「はにすんらよ!」
 「わ、悪い、おれ、お前のこと好きだから付き合えない!!」
 すまんだかごめんだかを叫びながらプロイセンは脱兎のごとく走り去っていってしまった。呆然とプロイセンの小さくなっていく後ろ姿を見るしか出来なかった。
 「・・・好きだから付き合えないって、なんだよ。」
 今のところは二人思いを確かめあって、見事ゴールイン、レッツゴー式場のはずだろ。
 「意味わかんねぇぇぇ!!!!!」



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 「と、いうわけだ、説明しろ。」
 バン、と机を叩いても気にせずお昼を食べ続けるのは金髪にひげの男と茶髪でトマトを囓っている男だ。
 「いやー、ガリ男が告るとか、思わんかったわぁ」
 「お兄さんは何となく思ってたよ」
 からからと笑うスペインにしたり顔のフランスは、ふたり目を合わせるとにやりと笑った。
 「「ガリ男とぷーちゃんが両思いなの(ん)は知ってたけどね(な)」」
 「知ってたんなら協力しろよ!!」
 思わず殴ってしまいそうな拳をなんとか下ろし、口で文句を言うだけにとどめる。ここでこいつらをのがしたらドイツに聞かざるをおえなくなる。・・・身内に聞くとか、流石に勘弁してくれ。
 「んで、どういうことなんだよ。」
 「んー・・・」
 フランスのもったいつけるような言い方にいらいらが募っていく。
 「教えろって!!」
 「えー?」
 「このっ!!」
 「ぷーちゃんは不憫やねん。」
 不意にもぐもぐとパンを口に詰め込みながらスペインがそう零す。掴んでいたフランスの襟元を離すと、フランスはそのまま黙って静かに弁当の残りを食べ始めてしまった。
 「そんなこと--------」
 「ほんま、不憫やねん。」
 「まぁ、あれは多分不幸っていうんだろうけどね」
 フランスが少し眉の下がった顔で困ったように笑う。す、とフランスが窓の外を見つめ、その視線の先を見つめると、プロイセンがいた。なんであんなところに、と思っていると、不意にプロイセンが何かにつまずいてこけそうになる。あ、と思ったと同時に次々と様々なことがプロイセンに降りかかる。
 つまずいて、転びそうになったのを持ち直す為に掴んだプレハブの扉がガコッとはずれ、プロイセンの方へ倒れてくる、ソレをあわてて避けようとして一歩下がると、そこにはなぜか忘れさられたバケツが転がっており、それに足を取られてまたもやすっころびそうになる。それを持ち前の運動能力でくるりと後転し、着地した、と思ったらそこには運悪くペンキ塗り立てのベンチが---------------。
 「あ、」
 プロイセンはしっかりとペンキ塗り立てのベンチに着席してしまっていた。立ち上がるとシャツとスカートが真っ青に染まっていた。
 「な、不憫やろ。」
 「ね、不幸でしょ。」
 そのあともプロイセンはいいことがなかった。ペンキぬれになってしまったせいですぐに先生にばれて説教をくらい、ふてくされながら蹴った缶が校長の目の前で校長像にぶちあたった。そのあとのことは言うまでもない。
 「・・・・・。」
 「ぷーちゃんの不幸はほんとうにすごいからね。」
   「ぷーちゃんなりの気遣いやあらへんの?」
 「気遣いって・・・」
 「『俺のせいでハンガリーまで不幸になったら』どないしよー」
 「『ハンガリーは不幸に出来ない、』好きだから。」
 「・・・・バカじゃねーの。」
 「バカやなぁ、」
 「ばかだよねぇ、でも、それがぷーちゃんだから。」
 優しげに笑うフランスに胸の奥がどろりと渦巻く。醜い嫉妬だ。俺も大概バカだな。じっとみてくるスペインの瞳をギロリとみて、くだらない独占欲に唇が歪む。なにも言わずに背を向けると、後ろで舌打ちの様なモノが聞こえた気がしたが振り返らない。悪いな、あれは俺のだ。
 「・・・最悪やわぁ」
 「しょうがないでしょ、」
 「なん、自分がいっちゃん悔しい癖によう言うわ。」
 「・・・むかつくからって俺に八つ当たりしないでよ。」
 「あーあ、俺らのやったのになぁ、フランス。」
 「・・・スペイン」
 「まぁ、」
 離しはせぇへんけどな。
 窓を見つめる瞳は綺麗に歪められていた。


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 「プロイセン」
 「ハ、ハンガリー・・・なんだよ。」
 校長からの罰なのか箒をもってだらだらと中庭を掃除しているプロイセンを捕まえる。逃げ腰のその身体を手を引っ張って引き寄せる。
 「い、いてぇって、」
 「・・・・ふざけんなよ、お前。」
 「え、なに・・・」
 「なにが好きだから付き合えない、だ。勝手に決めてんじゃねーよ。お前と一緒にいるかどうかは俺が決める。お前に拒否権も意見をいう権利もねぇ。」
 「なんだよ、それ、」
 「お前ごときの不幸さに俺が負けるはずねぇだろ。」
 「・・・あいつら・・・」
 「いいか、お前が俺を好きといった時点でお前は俺のものだ。勝手に離れていくのは許さない。いいな。」
 「で、でも、おれ・・・・」
 「いいな?」
 ぎり、と力を込めて腕を握ると、プロイセンは少し顔を歪めた。しまった、と腕を離し代わりに頭を引き寄せ、腕のなかに閉じ込める。途端に真っ赤になる耳が愛おしい。
 もっと恥ずかしがれ、その赤くなった顔を見せつけてやるよ。
 「お前は俺のだ、いいな」
 腕のなかで、わずかにプロイセンが首を縦に振った。



END



    おまけ

なんっなんあいつ、むかつくわぁ!!
・・・見せつけてるねぇ
ほんま、いっぺん死んでくれんかな。一回でええから。
一回死んだら終わっちゃうよ
お前だって思っとるんやろ
そんな、死んでくれまでは思ってないよ。ただ、
ただ?なんや
社会的に立場無くしてぷーちゃんに見捨てられればいいのにとは思ってる
ぶはっ、それええなぁ
でしょ、
ほんなら、やっぱり一番幸せそうなときにがええなぁ
ぷーちゃんが悲しまないようにしないと
大丈夫や、悲しんだぶんだけ俺がぷーちゃんのこと癒す
ちょっと、お兄さんもまぜてよ
しゃあないな、混ぜたるわ


・・・う、
ハンガリー?
いや、なんか悪寒が・・・。
は、俺のせいでか・・・?
はぁ!?んなわけないだろ!
そ、そうか・・俺、といるとなんかみんな頭痛とか腹痛とか、なにかにとりつかれたりとかするから・・・
・・・・お前、どんな力があるんだよ・・・