ぐーぱー  



「なんっで!!」

 キッと睨んで来る頭一個分下にある瞳から目を背けるが、それをめざとく見つけた彼はその逸らされた視線のさきに移動する。

「ねぇ、なんで!あの時出てきたの!?」

「・・・しょうがないだろ、出されたんだから・・・。」

 そもそも、俺の意志で出てる訳じゃないし・・・とぼそぼそと呟くが、そんな言い訳めいたことを彼が素直に聞いてくれる訳がなかった。

「お前があの時出てこなかったら・・・あのプリンはこいつのだったのに。」

「そんなこと言ったって、あいつもプリン食べたかったんだよ・・・。」

 二人の視線の先には、美味しそうにプリンを頬張る少年と、それを悔しそうに見つめるもう一人の少年がいた。

「あーあ、あのときチョキを出してればなぁ。」

 俺が勝てたのに、と悔しそうにている彼を見て、こちらは少しばかり面白くない。

「・・・そんなに俺がいやだったのかよ、」

「あたりまえだろ!!俺はお前に負けちまうんだから!!」

 グーである俺は、パーであるお前に一生勝つことは出来ないんだからな!ちくしょう、最強の存在になりたい!!
 喚くグーに思わず愚痴が零れる。

「・・・なんだよ、せっかく逢えたのに。」

「・・・・へ?」

 きょとん、と目を見開いたグーにちょっと恥ずかしくなって、目を伏せるがなんだか悔しくて言葉を続ける。

「・・・久しぶりに、チョキじゃなくてお前と逢えたのに。お前は嬉しくないのかよ・・・」

「え、ええええ!?」

「うっさい!」

 真っ赤な顔で口元をおさえるグーの顔をぐいぐいと手の平で追いやるが、その手を掴まれて逆に身体を引き寄せられる。

「寂しかったの?」

 ん?と首を傾げながら聞いてくるグーが憎たらしくてたまらない。さっきまでなんで俺が出てきたのか、なんてぶちぶち言ってた癖に。

「さ、びしかったに決まってんだろ・・・」

 吐き捨てるように言いつつ睨むと、だらしなく口元を緩めたグーが俺の腹に腕を回して来る。わずかに長さが足りない腕は、俺を抱きしめるというよりはしがみついているような感じなのだが。

「もー・・・なに、どうしちゃったの!?」

「・・・悪いか、」

「ぜんっぜん!!むしろありがとう美味しいです!!」

「お、いし・・・?」

「いや!なんでもない!愛してゆ!!」

 ぎゅうぎゅうとしがみついてくる体温が暖かくて、柄でもなくきゅんとしてしまう。低い位置にある柔らかな髪に鼻先を埋めそっと頬をすり寄せてみると、グーがいきなり奇声を発し始めて思わず身を引く。

「っもおぉぉぉぉぉ!!!!」

あああああああああああと叫びながら悶えるグーになんだか不気味さが募って、頬が引きつる。

「パー、俺、大切にするよ」

「え、何を?」

「君を!!」

 キラキラ、というより、ギラギラというような目つきになったグーに、のーせんきゅーと返し、俺は家に帰るべく背を向けた。

「どこいくのかな?マイハニー」

「なんでもないよ、まいだーりん・・・」

・・・・わかっていたんだ、逃げられないことぐらい。



       END



 擬人化ぐーぱー。
 ジャンケンじゃあ負けるけど、夜の勝負はグーがかt・・・っげほごほ。
 おげひんでしたねごめんなさいでもすきですよしもねた
 まさか塩と胡椒の流星群とか、作業用調味料があるなんてな。驚きだぜ。
 これで思う存分夜更かし出来るぜ。そんな今午前2時12分、そろそろ眠い。